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なぜ労働生産性の向上や技術革新が起こっても労働時間は減らないのか

むかしから技術革新が幾度となく起こり、労働生産性(時間あたりの生産量)は確実に増えているのになぜ労働は減らないのかとずっと考えていました。そして資本主義について学ぶことでその理由が見えてきました。

その答えは「技術の進歩による生産性向上の恩恵を享受しているのは労働者だけではなく、また資本主義経済において経済成長の阻害要因となる労働時間の短縮は難しい」でした。

 

 

技術革新による労働生産性の向上遍歴

紀元前から考えてこれまで様々な技術革新がありました。古くは火や石や木製の道具の開発から、それが銅や鉄に代わり、蒸気機関の発明による産業革命、電気の発見、電動機や燃焼機関の発明等々明らかに進歩しています。そして人々の労働に着目すると1人辺りの生産性は明らかに向上しています。例えば昔は稲刈りを手作業で行っており、1枚の田んぼで何十人の人手が必要でしたが、今はコンバイン1台あれば1人で短時間で作業が終わってしまいます。またIT的な観点では技術革新の速度はムーアの法則にあるように、爆発的に進歩しています。このような生産性の向上はどの分野でも起こっています。

 

労働生産性の向上Not=労働時間の短縮

旧石器時代と同様の生活を送っている伝統社会の方の1日の労働時間の中央値は5.9時間であるのに対して、我々現代社会に生きる我々の1日の労働時間平均は6.98時間(日本)です(*1)。労働生産性は旧石器時代と比べて圧倒的に高いのになんでこんなに働いてるの??と疑問に思いませんか。

確かにここ数十年に着目すると労働時間は短くなっています(*2)。それでも旧石器時代と比べて圧倒的な労働生産性を有するのに旧石器時代より長く働いているというのがどうも納得できません。

 

(*1)伝統社会の労働時間 http://rootport.hateblo.jp/entry/2016/06/28/223000

(*2)平成6年からの総労働時間の推移 https://jsite.mhlw.go.jp/kochi-roudoukyoku/library/kochi-roudoukyoku/topics/topics222.pdf

 

労働生産性の向上の恩恵はいずこへ?

①労働生産性の向上が生活の安定に振り分けられている

生産性が向上して生活に最低限必要な物資以上のものが供給され、過剰供給になることや備蓄が可能になることで飢饉などの環境変化に強くなってきました。食糧に限らず衣料品や医薬品といった分野も過剰供給になることで物不足に困らなくてよくなったんですね。また労働生産性の向上はテクノロジーの進歩にもつながっており、それらの恩恵として、昔と比べると平均寿命が飛躍的に向上しています。

 

②生産性が上がると物の価値が下がるので恩恵自体が薄まる

例えば昔に比べてテレビの価格は大幅に下落しています。(*3)

技術革新や改善によって一人が単位時間に作れる製品の量は増えます。そうなるとシェアを取るために価格が下がるので物の価値が下がります。つまり生産性が向上しても価値が下がるので前よりも沢山生産しなければならないのです。結局前よりもたくさん生産しなければならないので、労働時間は減らない。

 

(*3)https://shouwashi.com/transition-tv.html

 

③生産性向上の恩恵は色んな人に分配される

生産性が向上し価値は下落したがシェアを取れたのでトータルでは利益が増えた。そんなとき、会社は利益を減らして労働時間を減らそう!とは絶対に言わないですよね。もっとお金を稼げというのが資本主義です。少ない資本で効率的にお金を稼ぐことが重要であるため、労働者の様な立場の低い人間への恩恵は後回しです。つまりテクノロジーが進歩して会社の売り上げが上がって得をするのは会社や資本家であって、労働者への配分は一番後回しなのです。

資本主義経済は利子を返済するために経済が拡大し続けなければなりません。もっと利益をあげるために継続的に生産性改善や技術革新を続けなければならず、それらを阻害する労働時間の短縮という報酬は取りづらいのです。

 

まとめ

労働生産性が向上することで、物質的な豊かさや生命の安定を得ることが出来ました。一方、労働時間があまり短くならないのは、資本家や企業による労働者の制御、資本主義経済が拡大を続けるために必要とされているからです。

資本主義経済では経済規模の継続的拡大が必須であり、経済規模の拡大に悪影響を与える安易な労働時間短縮は難しいという現実があります。

 

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